新人営業が成果を出せない本当の理由──最初につまずくのは「知識不足」ではなかった

営業組織において、新人営業の立ち上がりは常に大きなテーマ。
思うように成果が出ない新人を前にして、「商品知識が足りない」「業界理解が浅い」といった声が上がる場面も少なくありません。

しかし、実際の現場を丁寧に見ていくと、新人営業が最初につまずく原因は、必ずしも知識不足とは言い切れないことが分かります。
問題の本質は、知っているかどうかではなく、どう伝えるかが分からないという点にあるのです。

知識はあるのに、説明が安定しない理由

近年の新人営業は、以前と比べて情報環境に恵まれています。
社内資料、マニュアル、過去の提案書、Webサイト、場合によってはAIを使って情報を整理することもできます。

それでも商談の場になると、

  • 説明が長くなってしまう
  • 話の順番が前後する
  • 相手の理解度が分からず不安になる

といった状態に陥りがちです。

これは決して本人の能力が低いからではなく、説明の正解イメージを持たないまま話し始めてしまうからです。

新人は「理解したつもり」で現場に出てしまう

新人営業は、研修や資料読み込みを通じて「分かったつもり」になります。
用語も覚え、資料の構成も頭に入っている。
そのため本人としては、「あとは経験を積めば何とかなる」と感じた状態で現場に出ていきます。

しかし商談では、想定外の質問が飛んできます。

  • なぜその機能が必要なのか
  • 他社とどう違うのか
  • 自分たちの業務にどう影響するのか

この瞬間、新人は初めて
「知識としては知っているが、説明として整理できていない」
という事実に直面するのです。

つまり、説明レベルで考えたときに、「自分がどこまで分かっていて、どこから分かっていないのか」を、新人営業が自分自身で把握しにくいことが問題なのです。

ベテランは「知識」ではなく「型」で話している

一方、成果を出しているベテラン営業は、毎回ゼロから説明を組み立てているわけではありません。


ベテラン営業は無意識のうちに、

  • この場面ではこの順番で話す
  • この質問が出たら、ここを補足する
  • ここは深掘りせず、次に進む

といった 説明の型 を使っています。

この「省いていい基準」や「説明のゴール」を判断する説明の型を、新人営業は持っていません
持っていないものは使えない。だから、新人は判断に迷い、「念のため全部説明する」という選択をしてしまうのです。

結果として、説明は長くなり、話の軸もぶれやすくなります。

新人営業教育で見落とされがちな構造的課題

ここまでのことを踏まえると、新人教育の在り方や方針について、改めて考え直す必要性が出てきます。

しかしながら、新人営業教育は、目的や効果が曖昧なまま、その場しのぎで進行してしまうことが多くあります。

教育が属人化する組織で起きていること

新人教育がうまくいかない営業組織では、いくつか共通した状況が見られます。

  • 教える人によって説明内容や強調点が異なる。
  • 「まずは見て覚えて」というスタンスが前提になっている。
  • 忙しくなると、新人教育が後回しにされる。

ひとつひとつは珍しくないものの、これらが重なることで、新人にとっては非常に分かりづらい環境が生まれます。

特に問題になりやすいのが、営業に必要な「説明の基準」が共有されていない点です。


何をどこまで説明すれば十分なのか、どの情報は省いてよいのかといった判断は、人によって異なり、新人は複数の先輩や上司から、微妙に異なる説明を受けることになります。
その結果、どれが正解なのか分からないまま、現場に出ることになり、説明に自信を持てません。

また、「見て覚えて」という教育スタンスでは、ベテランがなぜその説明をしているのか、その判断の背景までは伝わりません。
新人は表面的な話し方だけを真似しようとして、うまく再現できずに戸惑います。

こうした環境では、新人が「正解に触れる機会」が限られます。
結果として、説明の良し悪しを判断する基準が育たず、後に自己流の説明が定着しやすくなってしまいます。

新人の成長を止めてしまう「自己流説明」の固定化

新人営業が現場に出てしばらくすると、もう一つ別の問題が生じます。
それは、うまくいかなかった説明であっても、「それが自分のやり方」として固定化されてしまうことです。

本来、営業の説明スキルは、

  • 「どの順番が伝わったのか」
  • 「どこで反応が変わったのか」
  • 「どこは省いてよかったのか」

といった仮説と検証を繰り返すことで磨かれていきます。

しかし新人営業にありがちなのは、日々の業務やノルマに追われ、商談ごとの振り返りを十分に行えないことです。
その結果、良し悪しを検証しないまま次の商談に進み、同じ説明、同じ話し方、同じ構成を繰り返すようになります。

この段階に入ると、「一応説明はできている」「業務は回せている」という感覚が生まれ、成果が出ていなくても大きな問題意識を持ちにくくなります。
改善の必要性に気づきにくくなることが、成長を鈍らせてしまうのです。

さらに、マネージャーや先輩がすべての商談を把握できるわけではないため、新人の説明は次第にブラックボックス化していきます。
結果として、「自分なりにやっているが、どこを直せばよいか分からない」という壁にぶつかります。

重要なのは、これが本人の能力不足ではなく、
説明を客観的に見直す仕組みがないことから生まれている点です。

説明の基準や型が共有されていなければ、
新人の説明は自己流のまま定着してしまいます。

新人の成長スピードを高めるためには、
「まずは自分でやってみる」だけでなく、正解に近い説明と照らし合わせながら修正できる環境を用意することが欠かせません。

新人が本当に必要としているのは「説明の安心感」

新人営業が求めているのは、完璧な知識ではありません。
「ここまで話せば十分」「これは省いても問題ない」という判断の拠り所です。

説明のゴールが見えれば、新人は安心して話せます。
逆にゴールが曖昧なままでは、知識を増やしても説明は安定しません。

この安心感を個人任せにせず、仕組みとして用意できるかどうかが、
新人育成の成否を大きく左右します。

説明を人に持たせないという考え方

ここまで見てきたように、新人のつまずきが個人の努力では解決しにくい以上、視点そのものを変える必要があります。

そこで、「新人が説明につまずく」のであれば、「説明を人が担う」という前提そのものを見直すことはできないでしょうか。

  • 資料が一定の品質で説明してくれる
  • 何度聞いても内容がぶれない
  • 事前に顧客が理解した状態で商談に入れる

こうした状態が作れれば、新人営業は「説明すること」よりも、

  • 相手の反応を見る
  • 質問に向き合う
  • 会話の流れを考える

といった、本来身につけるべき力に集中できます。

AIと共創する新人育成という考え方

近年、AIを活用して説明や資料を補助する取り組みが広がっています。
これは「新人教育をAIに任せる」ということではありません。

説明の土台をAIが担い、
人は対話と判断に集中する。
そうした役割分担によって、新人は早い段階から“営業らしい仕事”に向き合えるようになります。

AIは人を置き換える存在ではなく、
成長を支える補助線として機能するのです。

まとめ

新人営業が最初につまずく原因は、知識不足ではありません。
説明の型や判断基準を持たないまま、実戦に立たされていることが問題です。

説明を個人の力量に委ね続ける限り、
新人は不安を抱えたまま話し、成長スピードにも差が生まれます。

説明を仕組みとして切り出し、人は対話に集中する。
この設計ができるかどうかが、これからの営業教育の質を左右します。

説明に悩まない営業環境をどう作るか

こうした新人営業の立ち上がり課題に対して、
エージェンテックでは、お手持ちのPDFやPowerPointをもとに
AIがナレーション付きで資料を説明する「AI Shorts」を提供しています。

説明を資料側に持たせることで、新人は「説明すること」から解放され、
対話や理解に集中できる環境を作ることができます。
新人育成や営業教育の見直しを検討されている方は、ぜひ一度ご覧ください。

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