「お客様に怒られた」「クレーム対応に自信がない」……そんな経験に直面して戸惑っていませんか?営業職にとって、クレームや叱責は避けて通れないもの。
けれど、対応を間違えれば信頼を失い、うまく乗り越えればむしろ信頼を深めるチャンスにもなります。
本記事では、怒られたときに取るべき対応のコツや、やってはいけないNG例、そして実際に使える言い換えトークまで、営業現場で実践しやすい対応術を紹介します。
クレーム対応は営業力を高めるチャンス
クレームや叱責は避けられない営業の現実

営業という仕事をしていれば、どんなに注意深く進めても、お客様から怒られたり、クレームを受けたりする場面は必ずあります。
「なんでそんなこともわからないの?」「ちゃんと確認してくれたの?」——そんな言葉に心が折れそうになる経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
クレームの多くは、実は相手からの“期待”が裏切られたときに発生します。つまり、怒られるということは、少なくとも期待値があったという裏返しでもあります。そこを理解するだけで、対応への姿勢が少し変わるはずです。
「怒られた=失敗」ではないという視点
クレームや叱責は、必ずしも「失敗の証」ではありません。むしろ、「今後も取引を続けたい」「良くなってほしい」と思っているからこそ声をあげているお客様も多いのです。重要なのは、怒られたときにどう対応し、どう信頼を回復するか。これを繰り返すことで、営業としての引き出しや応用力が確実に磨かれていきます。
営業が怒られる主なパターンと背景
商品理解・説明不足による信頼損失
お客様が期待していた内容と、実際のサービス・商品の機能や仕様が食い違っているとき、「聞いていた話と違う」とクレームにつながります。
これは営業が商材の理解を十分にしていない、説明が曖昧だったときに起こりがちです。

商材が複雑であればあるほど、勘違いや誤解が生まれやすくなります。「相手が素人だから、これくらいは省いてもいいだろう」という思い込みが、信頼の損失につながることもあります。
連絡遅れ・確認不足による不満の蓄積
「ご連絡が遅くなり申し訳ありません」——これが何度も続くと、お客様の中で不満が積み重なっていきます。些細な確認事項でも、即レス・即報の習慣ができていない営業には、怒りが集中しやすくなります。
また、連絡の「スピード」だけでなく、「正確さ」や「タイミング」も重要です。確認するべき事項を事前にチェックしていなかったことで、二度手間になったり、相手の手を煩わせたりするケースも少なくありません。
お客様の期待値と実際のギャップ
ときには営業がミスをしていなくても、「できると思っていたのに」「そんな前提とは知らなかった」といった、期待値のズレが怒りを生むことがあります。これはヒアリングや初期説明の浅さが原因となるケースが多いです。
「何をどこまで説明すべきか」は営業側にとっての永遠の課題ですが、経験の浅い営業ほど、“自分の中では分かっていた”ことを言葉にできていないことが多く、認識のギャップを生みやすいのです。
怒られたときにやってはいけないNG対応
言い訳や自己防衛に走る

「でも〜だったんです」「私のせいじゃないんですけど」など、自分を守る発言は火に油を注ぎます。まずは相手の感情を受け止めることが先です。
特に、相手が感情的になっている時点では、事実の是非よりも“態度”で判断されてしまう場面も多いため注意が必要です。
うやむやに謝って終わらせる
「とにかく申し訳ありません」と繰り返して済ませる対応は、その場しのぎにはなっても、再発防止や改善にはつながりません。謝罪とあわせて、具体的な対応方針を示す必要があります。
「どう直すのか」「いつまでに」「誰が」など、次のアクションをセットで提示しましょう。
感情で反応してしまう(表情・トーン)
顔が曇る、語気が強くなる、態度が急変するなど、営業側の感情が表に出てしまうと、お客様の怒りはさらにヒートアップします。あくまで冷静に、誠実に対応することが求められます。
特に“無言”や“無表情”も、相手にはネガティブに映る可能性があるため注意しましょう。
営業が“怒られた後”に実践すべき対応5つのコツ
感謝と謝罪を“分けて”伝える

「ご指摘ありがとうございます。そして、こちらの確認不足でご迷惑をおかけしました」など、感謝と謝罪をきちんと分けて伝えることで、相手の話を真摯に受け止めている姿勢が伝わります。
謝罪だけでなく「指摘してもらったおかげで改善のチャンスが得られた」という意識を持つと、前向きな関係性が築きやすくなります。
事実と主観を切り分けて冷静に聞く
相手の感情の高ぶりに飲まれず、「どの部分で誤解があったか」「どの手順に問題があったか」を冷静にヒアリングします。感情的な言葉の裏にある“本音”を丁寧に拾いましょう。
メモを取りながら聞くことで、話を正確に受け止めている姿勢も示せますし、事後の報告・振り返りにも役立ちます。
課題を“言語化”し、対応方針をその場で提案する
「今回は◯◯が原因と考えられますので、次回は〜という対応をいたします」といったように、原因・対応策・スケジュールをその場で整理して共有できると、お客様の不安は大きく和らぎます。
その場で言語化する習慣がある営業は、クレーム対応以外の場面でも「この人は信頼できる」と思われやすくなります。
一度持ち帰る、を上手に使う
その場で答えられないときは「確認のうえ、〇日までにご連絡します」と明確に伝えて持ち帰るのが正解です。無責任な返答を避けつつ、きちんと対応する印象を残せます。
また、後日連絡の際には「何を確認したか」「どう考えたか」まで含めて伝えることで、対応の深さが伝わります。
クレーム対応こそ“上司やチームと共有”するクセを持つ
クレームは一人で抱え込むと、精神的な負担が増します。早い段階で上司や同僚に共有し、「どこに原因があったか」「どう改善すれば良いか」をチームで考える文化をつくることが重要です。
クレーム共有ができる文化があれば、同じミスを他のメンバーが繰り返すリスクも減らせます。
よくあるクレーム対応の“言い換え例”集(実践トーク)
NG表現 | 言い換え例(OKトーク) |
---|---|
それは知らなかったです | 確認が不足しており、申し訳ございませんでした |
こちらの都合でして… | 調整が不十分でご迷惑をおかけしました |
申し訳ありません、気をつけます | 次回以降は〇〇の手順で対応いたします |
とりあえず確認します | 〇〇について確認し、△日中にご連絡いたします |
言葉の選び方ひとつで、誠意が伝わるかどうかが大きく変わります。習慣として持っておくことで、いざというときの対応力が鍛えられます。
クレーム対応の振り返りと学び方
怒られたときこそ“成長の材料”が詰まっている
怒られた経験を「怖い」「つらい」で終わらせるのではなく、「何が足りなかったか」「どうすれば防げたか」と振り返ることで、次の商談に活かせる学びが生まれます。
「怒られること=損」ではなく、「怒られたときに考えたこと」を可視化し、自分なりの対応マニュアルを作ってみるのも有効です。

ロープレや振り返りの習慣をつける
実際のやり取りを振り返る習慣を持つことで、似たような状況でも冷静に対応できる力が身につきます。上司や先輩とのロールプレイを通じて「対応パターンの引き出し」を増やしましょう。
振り返りは感覚ではなく、言語化・記録化がポイントです。
まとめ
クレーム対応や叱責は、営業の現場では避けて通れないテーマです。しかし、その受け止め方と対応次第で、お客様からの信頼をむしろ深めるきっかけにもなり得ます。
重要なのは、感情に流されず、冷静に誠実に向き合う姿勢。適切な言葉選び、丁寧なヒアリング、そして改善策の提案ができれば、「この人なら任せられる」という印象を残すことができます。
怒られたから終わり、ではなく、そこから何を得るか。クレーム対応を「営業力を磨く場」として活かすことで、より強く信頼される営業パーソンへと成長できるはずです。
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エージェンテックのミヤザキでした。