たくさん話したのに刺さらなかった…営業ヒアリングに潜む落とし穴!

「ヒアリングはできていると思っていたのに、提案が刺さらない」「情報は取れたのに受注にはつながらない」——こんな報告を受けたことはありませんか?

営業においてヒアリングは基本中の基本ですが、実は“できているつもり”で陥りがちな落とし穴が数多くあります。

本記事では、営業マネージャーが部下のヒアリング力を高めるうえで気をつけたいポイントを整理し、よくある失敗例とその改善策を具体的に解説します。

なぜ「話したのに刺さらない」のか?

よくある営業の“空回り”体験

「たくさん話したのに刺さらなかった…」「ヒアリングはできたと思ったのに断られた」——営業メンバーから、こんな報告を受けたことはありませんか?

営業におけるヒアリングは、お客様との信頼を築き、最適な提案を行うための基盤です。

しかし、聞いたつもり・話したつもりのヒアリングが、実は顧客の本音や真のニーズに届いていないケースも少なくありません。

ヒアリングは「情報収集」ではなく「共感の構築」

本来のヒアリングは、単なる情報収集ではなく「相手の立場に立って状況を理解する」こと。質問力=理解力です。
営業パーソンが陥りやすいヒアリングの落とし穴とその改善方法を、マネージャーがメンバーに教えるうえでの視点から解説します。

ヒアリングの“量”と“質”を混同していないか?

質問数が多い=よく聞いている、ではない

「何を聞いたか」よりも「なぜ聞いたか」が重要です。
質問が多くても、顧客から「で、結局何が言いたいの?」と思われてしまっては逆効果です。

たとえば、あるメンバーが初回商談で10個以上の質問をテンプレ通りに投げかけたにもかかわらず、顧客からは「なんだかアンケートみたいだね」と言われてしまった事例があります。

これは、質問に流れがなく、会話の意図が見えなかったことが原因でした。

マネージャーは「なぜその質問をしたのか?」を確認することで、質問の意味づけと構造をメンバーに意識させる必要があります。

「たくさん聞いた」は“自己満足”になっていないか

メンバーにヒアリングの内容を確認すると、「〇〇については聞けました!」という答えが返ってくることがあります。
しかし、その内容が浅かったり、お客様の文脈とつながっていなかったりすると、単なる“情報収集”に終わってしまいます。

相手の言葉を“メモするだけ”で終わっていないか?

情報は集まっているのに、提案に活かせない理由

ヒアリング内容が整理されておらず、提案の文脈とつながらない。これは、「聞いた内容」「提案に使うべき情報」を切り分けられていないことが原因です。

営業側が「意味づけ」できていないヒアリング

たとえば「今、在庫が足りないんですよね」という情報を、そのまま“ニーズ”と受け取ってしまっては不十分です。
なぜ在庫が足りないのか? どんな影響が出ているのか? 
これを深掘りする力を、マネージャーがメンバーに育てていく必要があります。

聞き出した“事実”と“本音”を区別できているか?

課題は事実の裏側にある

「〇〇で困っている」と言われたとき、それをそのまま鵜呑みにするのではなく、「なぜそれが困るのか?」を掘り下げていくことで、お客様の“真の課題”が見えてきます。

「本当はどうしたいか」を聞けて初めてヒアリング

メンバーが「現状の説明」を聞いて満足してしまう傾向がある場合、「理想の状態はどんな姿ですか?」「いまの対応で満足されていますか?」といった質問で、“未来視点”の問いを投げかける癖をつけさせましょう。

質問が浅い/偏っているパターンとその直し方

Yes/Noで終わる質問が多くないか?

「お困りごとはありますか?」「導入のご予定はありますか?」といったクローズドな質問ばかりになると、会話が広がらず、深掘りができません。

質問が“導線”として機能していない

「何のために聞いているのか」が質問から伝わらないと、相手に警戒されやすくなります。「なぜ今この質問をしているのか」「何を明らかにしたいのか」をロープレや録音の振り返りで一緒に確認しましょう。

たとえば、「それが起きたきっかけは何ですか?」「その対応を選ばれた理由は?」といった質問は、背景を掘り下げつつ相手の意図を確認できる“良い導線”になります。メンバーには、単発で終わる質問ではなく、“会話を先に進めるための質問”を意識づけることが大切です。

そのヒアリング、“提案ありき”になっていないか?

自社商品の“当て込み”前提で聞いていないか?

ヒアリングが、すでに売りたい商品の布石になっているパターンです。

「この質問が来たら、〇〇を提案したい」というバイアスをなくすには、営業担当が“一度商品を忘れて話を聞くトレーニングが有効です。

「お客様の選択肢」を狭めてしまう質問に注意

「こういう方法しかありません」と思わせる質問は、信頼構築を妨げます。

むしろ、「こんなアプローチもありますが、どんな形が理想ですか?」といった選択肢を広げるような聞き方を習慣づけましょう。

“相手の視点”で聞くことがヒアリングの本質

「この人は自分のことをわかってくれている」と思われる質問とは

「他社さんではこういったことが多いのですが、御社の場合はどうでしょう?」のように、前提理解+比較+共感の3要素が入った質問は、お客様の安心感を生みやすいです。

逆に、NG例として「何に困っていますか?」のように唐突かつ抽象的な質問をしてしまうと、「この人、うちのこと分かってないな」と警戒されてしまいます。

まずは相手の状況を踏まえた上で、問いを投げかける姿勢が信頼構築のカギとなります。

営業に必要なのは“提案力”より“理解力”

提案は、相手を理解した“結果”として出てくるものです。
「よく話す営業」ではなく、「よく聞いたうえで、的確に返せる営業」を目指してもらうために、マネージャー自身も“聞き役”としての姿勢をメンバーに見せましょう。

よくある営業シーン別・ヒアリング例文集

「ニーズがよく分からない」お客様に対して
  • 「最近、何かお困りごとや変化があった場面はありますか?」
  • 「その背景についてもう少し詳しく伺ってもよろしいですか?」
「とりあえず話を聞くだけ」という反応に対して見出し
  • 「まず情報収集とのことですが、気になっている点があれば教えてください」
  • 「過去に似た製品をご検討されたことはございますか?」
「比較検討中の相手がいる」場面での深掘り
  • 「すでに検討されている中で、重視しているポイントはどこですか?」
  • 「比較する上で、他社と違いが出そうな点はございますか?」

まとめ

ヒアリングは、営業における最も重要なスキルの一つです。しかし、それが「聞いたつもり」「話させただけ」で終わってしまえば、提案の土台は不安定になります。

マネージャーとして重要なのは、メンバーのヒアリング内容を「表面的な情報」から「本音」「期待」「理想像」まで引き出せているかという視点で振り返ること。

そして、日々のロープレや商談振り返りを通じて、“聞く力”を育てていく文化をチームに根づかせることです。

たくさん話すより、深く聞く——ヒアリングの本質を捉えた営業育成が、組織の成果を変えていきます。
今日からでも、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか!

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エージェンテックのミヤザキでした。