営業が「顧客生涯価値」(LTV)を意識しない会社はなぜ成長しないのか?現場視点で解説

こんにちは、エージェンテックのミヤザキです。

営業活動において、短期的な受注や目先の売上にばかり目を向けていませんか?確かに数字は大切です。
しかし、「顧客との関係がその後どう続くか」を無視していては、企業の継続的な成長は見込めません。顧客との関係性を深め、長く信頼を得ることが今の時代、ますます重要になってきています。

近年注目されている「LTV(顧客生涯価値)」という概念は、営業の質と戦略に深く関わっています。
1回限りの契約や受注ではなく、どれだけ長く・深く付き合えるかが企業の安定成長に直結する時代です。

本記事では、「なぜLTVを営業が意識する必要があるのか?」「LTVを軽視するとどのようなリスクがあるのか?」を現場目線で分かりやすく解説し、具体的にどう改善すればよいのかを考察します。

顧客生涯価値(LTV)とは何か?

LTV(Life Time Value)とは、1人の顧客が取引を開始してから終了するまでに、自社にもたらす利益の総額を指します。
単なる“売上”ではなく、契約の継続期間・購入頻度・アップセルやクロスセルの可能性などを含めて顧客の真の価値を評価する考え方です。

LTVは、マーケティングの世界で語られることが多い用語です。ですが、実は営業の現場でも非常に重要な視点です。
契約を取ることがゴールではなく、その後の継続、満足、紹介といった“価値の連鎖”をどう生み出すかが問われる時代に、営業は従来の考え方をアップデートする必要があります。

これまでの営業は、1件ごとの受注や契約成立がゴールとされる場面が多くありました。しかし、LTVの視点を取り入れることで、「どうすれば長く付き合える顧客になるか」「どうすれば再購入・継続契約につながるか」といった発想へと営業の役割も広がります。

営業がLTVを軽視するとどうなるか?

売って終わりの営業になる

LTVを意識していない営業は、受注をゴールと捉えがちです。そのため、「売ること」に特化し、契約後の顧客体験やフォローには無関心となりやすく、結果として解約や満足度の低下を招きます。
これは営業担当者の努力が短期的な成果で終わり、企業にとっての“損失”となるリスクもはらんでいます。

顧客との信頼関係が育たない

目先の数字ばかりを追う営業は、顧客から「売られた」印象を持たれやすくなります。「この営業は本当に自分たちのことを考えているのか?」という疑念が残れば、継続的な関係は築けません。
LTVを意識することで、営業スタンスが“売る”から“伴走する”に変化します。

再受注・紹介・クロスセルの機会を逃す

LTVを高めるポイントのひとつは、「既存顧客との追加取引」です。しかし“売り切り”の営業では、その後の顧客ニーズに気づけず、結果的に競合にリピートを奪われることになりかねません。
紹介やアップセルなど、本来取りこぼすべきでないビジネスチャンスを自ら手放してしまっているのです。

営業現場がLTVを意識するメリット

顧客理解が深まり、ニーズを先読みできる

LTVを意識することで、契約前後を問わず、顧客と深く対話する姿勢が醸成されます。
顧客の課題や期待値を本質的に理解できれば、先回りした提案やフォローが可能になります。
これは顧客にとっても営業にとっても“安心感”につながります。

提案のストーリーが“短期成果”から“中長期関係”へ進化する

「この製品を買ってください」ではなく、「この導入でこう変わり、さらに半年後にはこうなる」というように、時間軸で提案を描けるようになります。営業が顧客の未来に寄り添う姿勢を見せることで、説得力と信頼感が高まります。

単価よりも関係性を重視する営業文化が生まれる

LTVの概念が浸透すると、「単価の高い顧客より、継続率の高い顧客」を重視する文化が育ちます。結果、価格競争を避け、安定的かつ持続的な収益を実現できる営業組織へと変化します。

LTVを意識した営業への転換方法

数字目標の再設計:短期受注から長期顧客化へ

営業KPIを月次の受注数だけでなく、「契約後〇ヶ月継続」「アップセル率〇%」など、継続指標も取り入れて設計しましょう。
これにより、営業行動の質が変わります。顧客との関係継続を指標として可視化すれば、日々の行動も変化します。

顧客の解約理由や失注理由の見える化

解約・失注の理由を営業が知らないままでは、同じミスを繰り返すことになります。
CSやサポート部門と連携し、「なぜ離脱されたか」を営業チームが把握する体制づくりが必要です。
顧客の声は、提案の精度を高める最大の武器になります。

営業・CS・マーケの連携でLTV全体を捉える

LTVは営業だけでは完結しません。
契約後のサポートや継続率向上、顧客ロイヤルティの醸成にはCS・マーケとの連携が不可欠です
顧客接点全体を“ひとつの旅”として捉え、部門間で共通のゴールを持つことが鍵となります。

成長している企業に共通するLTV視点の営業戦略

成果主義だけでなく“関係主義”を制度に反映

LTV重視の営業組織では、単なる成果主義から脱却し、「どれだけ関係性を深められたか」が評価の基準に組み込まれています。
具体的には、リピート率やCS満足度、契約更新率などが人事評価に反映される仕組みが作られています。

契約後の顧客体験(オンボーディング〜サポート)まで営業が設計

成長している企業は、営業が契約だけでなく、その後の導入・定着・活用まで視野に入れて設計を行っています。営業とCSの境界線をなくし、「顧客の成功」をチームでつくる体制が整っています。

顧客の声を定期的に営業にフィードバック

VOC(Voice of Customer)をマーケティングやサポートが集め、営業チームに定期的に共有している企業は、提案の質とタイミングが大きく改善します。
LTVを組織で支える土壌ができているのです。

なぜ営業はLTVを意識しにくいのか?

目先の数字に追われる評価制度

営業現場の評価制度が短期的な成果に偏っている場合、LTVのような中長期的視点はどうしても軽視されがちです。

「今月の受注数」「今週の商談件数」などのKPIばかりが注目されると、営業担当者も目先の目標達成ばかりに意識が向いてしまいます。

契約後のフォローは他部署任せという風土

営業が契約までを担当し、その後の活用や支援は他部署に任せるという分業体制が、顧客との長期的な関係構築を妨げる要因になります。
組織としての“連携文化”が欠けていると、LTV視点は根づきません。

LTVの重要性が言語化・制度化されていない

「LTVを意識しよう」と口では言っていても、現場で評価指標や教育制度に落とし込まれていないと、行動に反映されません。たとえば、LTV向上に貢献した営業担当を表彰する制度を導入している企業では、営業の意識と行動が変化し、実際に顧客の継続率が向上した事例があります。また、研修プログラムにLTVに関するモジュールを設けることで、現場レベルでの理解促進にもつながっています。LTVを社内文化として根づかせるには、制度・評価・教育の3点セットが必要です。

まとめ:LTVを考えることが“未来の売上”をつくる

営業がLTVを軽視することで失っている機会は、想像以上に大きなものです。

一方で、営業が顧客との“継続”に目を向け始めたとき、提案の質、信頼、リピート率、アップセルの可能性…すべてが変わっていきます。

営業がLTVを“自分ごと”として捉え、評価・設計・日々の行動に落とし込むこと。
それが、顧客にとって「頼れる営業」「また相談したい営業」として選ばれる第一歩であり、企業にとって“未来の売上”をつくる最良の戦略でもあるのです。

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エージェンテックのミヤザキでした。