展示会は、企業が新規顧客との接点を創出し、自社の製品やサービスを効果的にアピールする重要な場です。しかし、展示会でいくら多くの名刺を集めても、その後のフォローが不十分ではリード(見込み客)を商談へ結びつけることは難しくなります。展示会で得た貴重なリードを、どうすれば確実に成果へつなげられるのか――本記事では、その具体的な手法や戦略、さらに成功事例を交えながら解説していきます。

展示会後フォローの重要性
リードを“育てる”という意識の必要性
展示会には多くの企業が出展し、来場者はさまざまなブースを回ります。そのため、訪問者の多くが一度に複数の製品やサービス情報を得ている状況です。来場者としては興味を持ってブースに足を運んでいるため、企業としては「その瞬間」の熱量をキープしつつ、さらに購買や契約に近づける取り組みが求められます。しかし一方で、展示会が終わると日常業務に戻る来場者がほとんど。忙しいなかで情報を精査し、興味を深め、検討する時間をなかなか取れないのも事実です。
このときに欠かせないのが「リードナーチャリング(リードを育成する)」の視点です。展示会で出会った瞬間が“種まき”だとすれば、その種が発芽し、成長するように継続的なケアをする必要があります。フォローメールや営業アプローチのタイミングを計りつつ、相手が検討を進めやすい形で情報提供を続けることで、商談や受注へと導きやすくなります。
展示会効果を最大化するための必須プロセス
展示会は出展コストが高額になりがちですが、その分、見込み客と直接コミュニケーションできる希少な機会です。もし展示会終了後のフォローが不十分であれば、多額の投資をして獲得したリードが“使われない名刺の山”に埋もれてしまう恐れがあります。展示会後フォローは、展示会への投資効果を高める上での重要なプロセスです。
さらに、競合企業が同じ展示会に出展している場合、来場者は複数社の製品を比較していることが多いです。もし競合が迅速かつ丁寧なフォローを行い、自社がそれに遅れを取ってしまうと、先に競合へ問い合わせや商談が進んでしまう可能性もあります。展示会後のフォロー体制を整えることは、商機を逃さないためにも必須といえるでしょう。
展示会後フォローを成功させるための具体策
素早い初動がカギ
フォローの基本は「スピード」です。展示会で名刺交換をしてから数日、あるいは数週間と大きく時間が空いてしまうと、相手の興味や熱量は冷めてしまう可能性が高まります。できれば展示会が終わってから 3日以内 に最初のフォローメールを送ることを目指しましょう。
また、このタイミングでのメールは「お礼」と「簡単なサービス紹介・特徴」をまとめたものが望ましいです。長文になりすぎると相手が読むのを敬遠することもあるため、あくまでコンパクトかつポイントを押さえた形で送ると好印象を与えられます。
セグメントごとの情報提供
展示会での接触といっても、来場者が置かれている立場や課題は多種多様です。たとえば、製造業のある工程の改善を求めているケースもあれば、IT部門のDX推進が急務なケースもあるでしょう。そこで重要なのが セグメンテーション です。展示会で名刺交換をした際やアンケートを実施した際の情報をもとに、以下のように分類します。
- 業種や役職
- 現在抱えている課題
- 展示会で関心を示した具体的な製品・サービス
これらの情報から適切なカテゴリを設定し、それぞれに最適化された情報を提供することで、より相手の興味やニーズに寄り添ったフォローが可能になります。たとえば、製造業の品質管理担当者には品質改善の事例を、IT部門の担当者にはシステム統合やクラウド化のメリットを強調するなど、情報をパーソナライズすることで反応率も高まります。
複数チャネルの活用
フォローメールだけでなく、電話やSNS、ウェビナーなどの複数チャネルを組み合わせることで、情報提供やアプローチを多角的に行うことができます。メールに気づかない、あるいは忙しさで見過ごされてしまう場合もあるため、その他のチャネルを活用して接触機会を増やすのは効果的です。ただし、あまり頻度が高いと相手に負担を与える可能性があるので注意が必要です。
- 電話でのフォローアップ
直接話すことで、相手が現在抱えている問題や興味の度合いを把握しやすくなります。展示会の感想を聞きながら、次のステップ(デモやミーティングなど)を提案しやすくなるでしょう。 - SNS(LinkedInなど)の活用
ビジネス向けSNSで相手とつながることで、双方にとって役立つ情報発信やイベント告知が可能になります。フォローアップの一貫として、ブログ記事やホワイトペーパーなどを紹介するのも良い方法です。 - ウェビナーやオンラインセミナー
展示会で触れきれなかった詳細情報を提供したり、新製品の発表や成功事例を深掘りしたりする場としてオンラインイベントを開催するのも有効です。リードが一度に多く集まるため、フォローアップの効率を高められます。
効果的なコンテンツの用意
展示会後のフォローでは「どんなコンテンツを提供するか」が商談につながる大きな要因となります。ここで重要なのは、コンテンツを 相手の課題解決に役立つ 形で準備することです。たとえば以下のような種類のコンテンツが考えられます。
- 事例紹介(ケーススタディ)
自社のサービスが実際にどのような課題を解決したのか具体的に示すことで、イメージが湧きやすくなります。数字やビジュアルを活用し、短時間で理解できる資料にまとめるのがポイントです。 - 技術解説や導入メリットをまとめたホワイトペーパー
より専門性の高い分野ほど、導入におけるリスクや効果に対する疑問が生じやすいです。そのため、技術的な観点や導入プロセスをわかりやすく解説したホワイトペーパーを提供すると、相手の検討を後押ししやすくなります。 - Q&A形式のコンテンツ
よくある質問への回答をまとめたコンテンツを用意しておくと、導入前の不安解消に効果的です。特に、費用・効果・導入期間・サポート体制などは関心が高いポイントなので積極的に情報提供しましょう。 - 導入ステップを可視化したガイド
大掛かりな製品やサービスの場合、「社内説得にはどうすればいいのか」「導入にはどのくらい期間がかかるのか」などの疑問が多く出ます。導入プロセスを段階的に示すガイドを作成すると、社内調整の際にも活用してもらいやすくなります。
展示会後フォローで押さえておきたいポイント
最適なタイミングでの継続的アプローチ
初回の連絡後、次の接触タイミングをどう設定するかも重要です。一般的には、最初のアプローチから 1週間以内 に二度目のフォローを行い、ここで相手の状況を把握するのが理想的と言われています。もし相手の反応が薄い場合でも、一度で諦めずに別のチャネルや内容を変えて再度アプローチすることで、後から商談に発展した例も多く存在します。ただし、過度に連絡を続けると「しつこい」「押し売り」と思われるリスクがあるため、相手の反応を見極めながらバランスをとる必要があります。
パーソナライズされたメッセージ
テンプレートメールだけを送るのではなく、展示会のブースで話した内容や相手が興味を示した製品名を具体的に触れると、一気に親近感や信頼感が高まります。メール冒頭や電話での会話に「先日は〇〇の機能に関するご質問をいただきましたが…」「展示会では製造工程の効率化についてお話ししましたね」などのフレーズを入れることで、相手に「自分のことを覚えてくれている」と感じてもらえます。
CTA(行動喚起)の明確化
メール本文や資料の最後に、わかりやすい次のアクションを示すことも欠かせません。「デモのご希望はこちらから」「詳細な打ち合わせをご希望でしたら、お気軽にご連絡ください」など、具体的な一歩を促すことで、リードを一歩進めるきっかけを提供します。単に「またご連絡します」ではなく、リードが能動的に動きやすい導線を常に示しておくのがポイントです。
成功事例から学ぶフォロー戦略
導入事例のWeb動画が効果を発揮
ある製造業向けシステムを扱う企業では、展示会後のフォローで 導入事例の動画 を制作・案内しました。従来はPDFの資料のみを送っていたところ、「読むのが面倒」「わかりづらい」という声があったため、わずか3分程度の短い動画で導入前後の改善ポイントを紹介する形式に変更。すると、クリック率と資料請求数が急増し、成約率も向上したという結果が得られました。動画は視覚的にわかりやすく、かつ短い時間で要点を伝えられるため、多忙なリード層でも取り組みやすいのがメリットです。
相手別に異なるコンテンツとステップを用意
とあるITソリューション企業では、展示会で集めた名刺をまず部署別に分類し、さらに課題(セキュリティ強化/コスト削減/運用自動化など)ごとに細分化しました。フォローメールでは、課題別のミニサイトへのリンクを案内する仕組みにし、そこからウェビナーに参加してもらう導線を設定。結果として、自社に合ったソリューションかどうかを短期間で判断してもらうことができ、商談の質が大幅に上がったと報告されています。先方のニーズや立場を正確に把握し、それに応じたコンテンツをタイミングよく提供することが、受注率向上につながった例といえます。
「タイミングを逃さない」仕組みづくり
展示会から日が経つにつれ、他の業務や別の企業への検討も始まるため、いかにリードが興味を持っているタイミングを逃さずコミュニケーションできるかが重要です。たとえば、ある企業では MA(マーケティングオートメーション) ツールを活用し、リードが送付した資料を開封したときやウェブサイトの特定ページを閲覧したときに、担当営業が通知を受け取る仕組みを導入しました。これにより、相手がもっと情報を欲しているタイミングで的確にアプローチができ、商談成立率も向上しています。
フォローの継続と評価
成果を測定するKPIの設定
展示会後フォローの効果を正確に評価するには、明確なKPIを設定し、その数値を継続的に追う必要があります。たとえば以下のような指標を設定し、定期的にモニタリングしましょう。
- 開封率(フォローメールの開封率、動画の視聴率など)
- クリック率(メール内リンクやSNSの投稿リンクのクリック率)
- 問い合わせ数(フォームや電話、メールでの問い合わせ件数)
- 商談化率(実際に商談に進んだ案件数やその割合)
- 受注率・成約率(最終的に受注に至った案件数や割合)
もしKPIが伸び悩むようであれば、メールの内容や送信タイミング、コンテンツの質やチャネルの使い方に問題がないかを洗い出し、改善を進めることが大切です。
定期的な振り返りと改善
展示会後のフォロー体制や施策は、一度つくったら終わりではありません。毎回の展示会やキャンペーンで得た結果を分析し、PDCAサイクルを回して改善していくことが求められます。特に、フォローに費やしたコストとその後の売上・利益の関係を可視化できれば、より効率的な予算配分や施策の選定が行いやすくなるでしょう。
- P(計画):前回の反省をもとに、セグメントやチャネル、コンテンツなどの戦略を再定義する
- D(実行):具体的なメール送付や電話フォロー、ウェビナー開催などを実施
- C(評価):KPIをチェックし、成功要因・失敗要因を分析
- A(改善):次回に向けて戦略や施策を修正・追加する
動画の活用と「AI Shorts」の紹介
展示会後フォローの成功には、スピード感のあるアプローチと相手の課題に合ったコンテンツ提供、そして継続的なコミュニケーションが欠かせません。とりわけ、多忙なリードが効率よく情報を吸収できる「動画」や「わかりやすいビジュアル資料」は、いまや非常に強力なツールとなっています。フォローメールにカタログや営業資料を動画化したリンクを同封すれば、テキスト資料だけでは伝えきれない製品の魅力や導入事例を、短時間でかつインパクトをもって訴求することができます。
このような動画マーケティングをさらに簡単かつ効果的に行うために注目されているのが、短い動画形式に特化したツールやサービスです。ここで紹介したいのが「AI Shorts」というサービス。AI技術を活用して、手軽に短尺の動画を作成・編集し、SNSやメールで展開できる仕組みを提供しています。数分の動画を短縮してわかりやすいポイントをまとめたり、ナレーションを自動生成したりと、多忙な営業担当者にとって大きな助けになるでしょう。
展示会後フォローでのカタログや営業資料を短い動画に変換して送付すれば、リードが資料を読むハードルを大きく下げるだけでなく、「見ればスグにわかる」「まずは動画だけでも見てみよう」と興味を持ってもらいやすくなるのも大きなメリットです。商談への入口を広げるうえでも効果的な手法ですので、ぜひ「AI Shorts」のようなサービスの活用も検討してみてください。
展示会後フォローは、一度確立すれば企業の売上拡大に大きく貢献する非常に重要なプロセスです。スピード、セグメンテーション、質の高いコンテンツ、そして動画のような視覚的訴求力を活用し、収益化につなげる仕組みをぜひ整えていきましょう。
今後、さらに多くの企業が展示会後フォローに力を入れ、動画やAIの技術を駆使することで、より効率的にリードを商談・受注へ導くことが期待されます。競合他社と差別化するためにも、ぜひ本記事の内容を参考に、自社ならではのフォロー施策を検討してみてください。
