新規・既存を同時攻略!デジタル・AIを駆使した新しい営業アプローチで成果を伸ばす

現代の営業活動は、顧客ニーズの多様化や競合の増加などによって、以前にも増して複雑化しています。とりわけ「新規顧客の獲得」と「既存顧客との関係深耕」を両立しながら成果を伸ばすためには、アプローチ方法を状況に応じて選び、戦略的に使い分ける必要があります。対面による人間同士のつながりが依然重要である一方、デジタル技術の進歩は営業プロセスを大きく変革し、効果的なアプローチの幅を広げています。

本稿では、まず新規顧客へのアプローチを成功させる要点を整理し、次に既存顧客に向けたアプローチ強化の考え方を解説します。そのうえで、オンライン商談やAIといったデジタル技術を活用したアプローチの可能性に触れ、最後にそれらを総合的にまとめます。新規と既存の両軸を意識し、そこにデジタルを組み合わせることで、営業活動全体を最適化するヒントを得ていただければ幸いです。

新規顧客へのアプローチを成功させる要点

ターゲットと初動の設計

新規顧客へのアプローチでは、まず「どのような企業(個人)をターゲットとするか」を明確にすることが重要です。顧客リストを無作為に当たるだけでは、断られてしまう確率が高くなるばかりで、時間やコストを大きく浪費しかねません。そこで、扱う商品・サービスの特徴と照らし合わせながら、以下のような観点でターゲットを絞り込みます。

  • 業界・規模・所在地など、客観的に合致しやすいセグメント
  • 既存ユーザー層との類似点(使い方や課題が近い見込み客)
  • 競合が入り込んでいない・もしくは不満を持っていそうな分野

ターゲットが明確になれば、初回接触時のメッセージや提案内容も相手に合わせてカスタマイズしやすくなります。実際に初動で断られにくくするためには、最初のコンタクト(電話・メール・SNSなど)で「相手にとってのメリット」がひと目でわかるように工夫することが大切です。自己紹介が長すぎたり、いきなり商品の詳しいスペックを語ったりすると、相手には「押し売り」感しか伝わりません。むしろ、「相手の状況に寄り添っている」姿勢を示し、課題解決の糸口を提供できそうな話題から入りましょう。

提案とヒアリングのバランス

新規営業の初期段階では、提案やプレゼンに力を入れるよりも、相手のニーズや悩みを引き出すヒアリングを重視するほうが、結果的に受注確度を高めることにつながります。もちろん、相手が求めていない場面でヒアリングを持ち出すのは逆効果ですが、ある程度関心を持ってもらえた段階で「今、どのような課題や目標があるか」を自然な流れで問いかけるとよいでしょう。

提案とヒアリングのバランス
  • 相手の現状把握:どんな業務プロセスを持っており、どのような成果を求めているのか
  • 潜在ニーズの発見:相手が気づいていない課題や今後のリスクを提示できるか
  • 予算感や決裁フロー:どの部署・人物が決定権を持っているか

こうした情報を整理したうえで、「自社がどんな価値を提供できるか」をシンプルに示す提案へとつなげます。自社の商品・サービスを説明する際は、相手の立場・状況を踏まえたうえで「買わない理由が見当たらない」と感じてもらえるように、メリットだけでなく運用面・サポート面もわかりやすく説明することがポイントです。

商談における「傾聴力」については、下記の投稿でも解説しています。

フォローアップの基本

新規営業では、初回接触後のフォローアップがいかにスムーズかによって成約率が大きく変わります。商談やオンラインミーティングが終わったら、できるだけ早く(理想的には当日か翌日までに)まとめの連絡を入れましょう。メールやメッセージで、以下を手短に伝えると効果的です。

  • 商談で出た話題やポイントのおさらい
  • 相手の悩みや要望を踏まえた追加資料の送付
  • 今後の進め方(再連絡の時期や見積もりタイミングなど)

新規顧客は、同じタイミングで競合他社の提案も受けているかもしれません。したがって、他社より早く相手の疑問を解消したり、関心を引く情報を届けたりすることで「対応が早く信頼できる営業担当者だ」と印象づけられます。

新規顧客へのアプローチの詳細は、下記をご参照ください。

既存顧客へのアプローチ強化で売上を伸ばす

ロイヤルティ向上と追加提案

既存顧客は、すでに自社の商品・サービスを利用しており、ある程度の信頼関係が築けています。だからこそ、既存顧客へのアプローチは「最初のハードル」が低く、新しい提案を受け入れてもらいやすいのが特長です。実際、既存顧客がリピートや追加導入を行う可能性は、新規顧客よりもはるかに高いとされます。

この段階で重要なのが、ロイヤルティ(忠誠度)をさらに高めるための継続フォローです。購入・導入後に「放置」されると、顧客は「この会社は売ったらそれで終わりなのか」と感じ、他社へ乗り換える可能性すら高まります。定期的に利用状況を聞き取り活用ノウハウを提案するなど、顧客が高い満足度を保てるようサポートを行いましょう。そのなかで、「実はこんな機能・サービスもあります」と自然にアップセル(上位プランの提案)やクロスセル(関連商品の提案)につなげるのです。

クレーム対応と要望反映のサイクル

クレーム対応と要望反映のサイクル

既存顧客は、運用や使い方のなかで新たな要望やトラブルが生じる可能性があります。クレーム対応は一見ネガティブに見えますが、真摯に向き合うことで逆に信頼を深めるチャンスになり得ます。「この不満を解決する追加機能がある」「似たような課題を解消する新プランがある」というように、顧客が抱える問題に合わせて新たな提案を行えば、断られにくいアプローチが実現しやすくなります。

顧客の要望や不満をヒアリングし、社内で改善策を議論して迅速にフィードバックする。こうした流れを確立することで、既存顧客は自社を「頼れるパートナー」と認識してくれるでしょう。自ら進んで追加投資する意欲を持ち、リピート購入やアップグレードへの心理的障壁が低くなります。

継続的な関係維持の仕組み

既存顧客との長期的な関係を育てるには、「顧客が望む未来像」に寄り添う営業スタンスが欠かせません。単なる売上拡大のために「新商品を買ってください」というメッセージを送り続けると、逆効果になりかねません。むしろ「あなたが目指す目標を達成するために最適な手段を提案します」というコミュニケーションを心がけましょう。

  • 顧客側のプロジェクト進行や経営方針を把握する
  • 関連部署と連携し、顧客の組織全体をサポートするイメージ
  • 顧客が活用しきれていない機能・オプションを定期的に紹介

こうした継続的なケアが、新規営業よりはるかに低コストで大きな売上拡大につながる可能性があります。いわゆる“顧客生涯価値(LTV)”を高めるうえでも、既存顧客へのアプローチをおろそかにしてはいけません。

デジタルとAIによる次世代アプローチ

オンライン商談・デジタル接点の活用

新規・既存を問わず、従来の対面だけに頼らず、オンライン商談やデジタルツールを組み合わせることで、営業活動の幅は格段に広がります。ビデオ会議ツールを使えば移動時間を大幅に削減でき、事前に資料を共有しておけば短い打ち合わせでも密度の高い議論が可能です。また、メールやSNSで顧客へ情報を届ける際には、開封状況やクリック率などのデジタルな“足跡”を確認できます。これは対面では得づらい情報であり、興味の強さや検討度合いをある程度推定する手助けとなります。

オンライン商談のコツ
  1. 事前連絡として、当日使う資料や簡単な導入概要を共有し、相手が予備知識を持った状態で商談を始める。
  2. 画面共有を活用し、相手が見ている資料上でポイントを指し示しながら話を進める。
  3. チャット機能などで随時質問や補足を挟めるようにし、一方的なプレゼンにならないよう配慮する。

オンラインは対面に比べて相手の反応が見えづらいという弱点がある反面、限られた時間で遠方の顧客ともスピーディに接点を作れる強みがあります。そこで、複数のアプローチを短いサイクルで試行し、どの顧客がどの段階で興味を示しているかをデジタルデータから素早くフィードバックする仕組みが鍵となります。

オンライン商談については、こちらでも詳しく解説しています。合わせてご一読ください。

AIツールの紹介

近年では、AIを利用して営業資料やコンテンツを最適化するツールも注目を集めています。その一例がAI Shorts です。AI Shortsは、従来のPDFやPowerPointの資料とは違う「音声を組み合わせた資料」という新しい形の提案資料を瞬時に提供してくれるサービスです。

  • 話す営業資料
    AI Shortsでは、アップロードした資料をもとに音声付きスライドを生成。顧客はブラウザ上で動画のように視聴でき、テキスト資料よりも直感的に内容を理解しやすくなります。
  • 視聴完了率の把握
    「最後まで視聴してもらえたのか」「途中で再生が止まったのか」などの情報が営業担当者にフィードバックされるため、どの顧客が強い興味を持っているかを客観的に見極めやすくなります。
  • 作業負荷の削減
    通常の動画編集やナレーション収録とは異なり、AIが資料に合わせて自動で音声や画面遷移を作成するため、営業担当者の負担を最小限に抑えられます。

こうした仕組みは、新規顧客への“第一印象づくり”にも有効ですし、既存顧客への追加提案や使い方の説明にも活かすことが可能です。特に“興味はあるが忙しくて資料を読む時間がない”という顧客に対して、短い映像コンテンツを提供できる点は大きな利点と言えるでしょう。

AI活用で変わる営業パーソンの役割

AI Shortsのようなツールを使えば、顧客の閲覧データや関心度を定量的に捉えられるため、有望なリードを早期に特定したり、優先的にフォローすべき顧客を絞り込んだりできるメリットがあります。しかし、こうしたデジタル導入が進んだからといって、人間の営業パーソンが不要になるわけではありません。むしろ、AIが示すデータをもとに的確な提案を行うことが、今後ますます求められるでしょう。

  • 相談相手としての存在感
    デジタルで数値や閲覧率がわかっていても、顧客が抱える不安や要望は最終的に対話によって解消されます。いくら優れたツールであっても、「なぜ必要なのか」「どう使えば効果があるか」といった踏み込んだ説明は、人間の言葉で届けるほうが相手の納得感を高めるはずです。
  • 差別化の鍵
    デジタルやAIを導入する企業が増えれば、営業プロセスの効率化はどこも似通ってきます。その中で差がつくのは、顧客ごとに合わせた柔軟な対応深いヒアリングといった、人間らしいコミュニケーション部分です。AIが提供する情報をうまく活かしつつ、相手の気持ちや状況に寄り添える営業担当者こそが今後大きな成果を得るでしょう。

営業パーソンをサポートする「AI Shorts」の製品詳細はこちらです。

AI Shorts

AI Shorts 製品ページはこちら

おわりに

新規顧客アプローチでは、ターゲットの絞り込みと初回接触の演出が鍵になります。相手の課題や背景を把握したうえで、「どのような価値を提供できるか」を端的に伝えることで“断られにくい”商談への道が開けます。
一方、既存顧客アプローチでは、ロイヤルティを高めるための継続フォローや追加提案が収益拡大に直結しやすいのが特徴です。特に導入後のサポートや要望への対応によって信頼がさらに深まり、アップセルやクロスセルにつながる可能性が高まるでしょう。

これらのアプローチをより効率的かつ効果的に行うためには、デジタルツールやオンライン商談の活用が欠かせません。メール開封率や視聴完了率といった客観データをもとに、興味度の高い顧客を優先的にフォローする仕組みを整えることで、商談の確度とスピードを両立できるようになります。
さらに、「AI Shorts」のように“話す営業資料”を自動生成し、顧客の視聴状況を可視化するツールを導入すれば、新規・既存の双方で第一印象や追加提案をスムーズに進めやすくなるはずです。

AIやデジタル技術の進化によって、営業活動は効率化や拡張の可能性が大きく広がりました。ただし、どれだけ先進的な仕組みを導入しても「顧客が本当に求めている情報を、最適なタイミングで、わかりやすく届ける」という本質は変わりません。新規・既存のアプローチを今一度見直しつつ、最新のツールを賢く活用してビジネス成果をさらに高めてみてください。