現代のBtoB営業戦略:デジタル時代における顧客との信頼構築

日本国内におけるBtoB営業の環境は、急速なデジタル化と導入する企業の購買行動の変化により、大きな変革を遂げています。かつての営業手法はもはや通用せず、現代の顧客に対応するための新しいアプローチが必要です。

本記事では、過去と現在のBtoB営業の違いを踏まえ、現代の顧客に効果的な営業戦略について詳述します。

BtoB営業とは?

BtoB(Business to Business)営業とは、企業間取引における製品やサービスの販売活動を指します。これに対して、BtoC(Business to Consumer)は企業と消費者間の取引を意味します。

BtoB営業は主に法人顧客を対象とし、製品やサービスの提供を通じて企業の業務効率や生産性の向上を図ることを目的としています。

BtoB営業の特徴として、商談の規模が大きく販売サイクルが長いことが挙げられます。また、購入決定に関与するステークホルダーが多く複雑な意思決定プロセスが存在することも特徴です。
例えば、大手製造業の企業が新しい生産ラインを導入する際には、技術担当者、購買部門、経営陣など複数の部署が関与し、慎重な検討が行われます。

企業、法人を対象とした営業については、こちらの記事でも紹介しています。ぜひご覧ください。

BtoB営業の変遷

現在のBtoB営業では、過去の手法は通用しないと述べました。
まずは、過去と現在でどう違うのか、その変遷を見てみたいと思います。

かつてのBtoB営業

以前のBtoB営業は非常にシンプルでした。企業が製品やサービスを必要とするとき、候補となるベンダーに直接連絡を取り、営業担当者と話をして購入を決定するという流れでした。
このプロセスは予測可能で、マーケティングチームはリードを生成し、営業チームがそのリードを追いかけて契約に結びつけるという明確な役割分担が存在していました。

例えば、製造業の企業が新しい機械を購入する場合、まずベンダーに問い合わせ、製品のデモを受け、その後営業担当者との交渉を経て購入を決定するという流れでした。このように、営業プロセスは直線的で、顧客との接触ポイントも限られていました。

現在のBtoB顧客

今日では、顧客自らリサーチを行う傾向が強くなっています。買い手の半数以上は、ベンダーと話す前に購買決定をほぼ完了させており、「製品について詳しく知るために営業担当者と話したい」と考える顧客は少数です。
このような状況の背景には、インターネットやソーシャルメディアの普及により、情報に容易にアクセスできる環境が整った、ということがあります。

現代の顧客は、自分のペースで情報収集を行い比較検討を重ねた上で購入を決定します。彼らはレビューや同業者からの推薦を重視し、営業担当者からの情報は補完的に利用するにとどまります。

新しい顧客の特徴

現代の顧客は、特にデジタルネイティブである世代が中心となってきています。彼らはデジタルツールやオンラインプラットフォームを駆使して情報収集を行い、購買決定に至る前に多くのデジタルコンテンツを消費します

つまり、営業担当者との対話よりもオンラインでのリサーチ・ユーザーレビュー・ソーシャルメディアなど、自身で得た情報を重視する傾向にある、ということになります。

製品やソフトウェアの導入に関わる担当者は、まずリサーチを行なった後に具体的な質問を持って営業担当者に連絡するという流れを取るのです。
このように、現代の顧客は情報に基づいた購買決定を行うため、営業担当者は求められている情報をタイムリーに提供していかなくてはなりません

現代のBtB営業でやるべきこと

ここまで述べてきたように、時代とともに変化してきた顧客を前にしてBtoB営業担当者が何をするべきか、その課題とやるべきことを考えてみます。

見込み客との関係構築

顧客が事前に得られる情報が豊富な現在、営業担当者の影響力は低下しています。
このため、営業チームは単に製品を売り込むだけでなく、顧客が必要とする情報を提供し、信頼関係を築くことが重要です

例えば、製造業の企業が新しい機械を購入する際、営業担当者は単に製品のスペックを説明するだけでなく、その機械が企業の生産性向上にどのように寄与するか、具体的な導入事例を交えて説明することが求められます。

営業とマーケティングの協力

営業とマーケティングの役割が大きく変わり、マーケティングチームが営業プロセスの多くを担うようになりました。コンテンツマーケティングが重要視され、顧客に対し必要な情報をタイムリーに提供することが求められます。

例えば、IT製品のマーケティングチームは、ウェビナーやホワイトペーパー、ケーススタディなどのコンテンツを提供し製品のメリットを理解しやすくするなど、営業のサポートを担っていくことができれば、ビジネスは円滑に進んでいきます。

リスク認識と不安の軽減

顧客は購入に伴うリスクを強く認識しています。製品が約束通りに機能しないことや、投資が無駄になることへの懸念です。

営業担当者はこれらのリスクを軽減するための情報提供やサポートを行う必要があります。導入後のサポート体制や過去の成功事例を提示することで、購入者の不安を軽減することができます。

現代のBtoB営業戦略

最後に、ここまで述べてきたことを踏まえ、現代のBtoB営業の手法について説明します。

情報提供による信頼獲得

見込み客がより良い購買決定を下せるよう、購買プロセスの各段階で必要となる情報やリソースをすべて提供します。
具体的には、製品デモ、ユーザーレビュー、無料トライアルなどです。
営業担当者は製品のデモンストレーションを実施し、実際の稼働状況を見せることで、見込み客の信頼を得ることができます。

ブランドの「顔」としての営業担当者

営業担当者をブランドの「顔」とし、役立つコンテンツを作成して共有することで、購入者にとって信頼できる情報源を作ることができます。

自社ブログに記事を投稿し、ソーシャルメディアでシェアすることで、見込み客との信頼関係を築きやすくなります。また、業界のイベントやセミナーで講演を行うことで、専門知識をアピールし、ブランドの信頼性を高めることができます。

営業とマーケティングの連携

先ほど述べたように、営業とマーケティングが同じ目標に向かって連携することが重要です。
両チームが協力してコンテンツを作成し、見込み客に適切な情報を提供することで、より質の高いリードを生成し、商談成立の可能性を高めます。

前章で挙げたように、マーケティングチームがウェビナーやホワイトペーパー、ケーススタディなどのコンテンツを提供、これを営業担当者が活用することで、見込み客の信頼を得ることができます。

パーソナライズドマーケティング

現代の顧客は、自分のニーズに合った情報を求めています。そのため、営業担当者は見込み客に対して個別化されたメッセージを提供することが重要です。

製品導入の具体的なシナリオを提示し、見込み客が自身の企業にどのように適用できるかを示すことで、より効果的なセールスが可能になります。

顧客エンゲージメントの強化

顧客エンゲージメントを強化するためには、見込み客と継続的なコミュニケーションを保ち、信頼関係を築くことが重要です。例えば、定期的なニュースレターやウェビナーを通じて、見込み客に最新の業界情報や製品のアップデートを提供することで、エンゲージメントを維持することができます。

また、見込み客が抱える課題に対して積極的にサポートを提供することで、顧客満足度を高めることができます。

まとめ

現代のBtoB営業は、過去とは大きく異なり、デジタル技術やコンテンツマーケティングの活用が不可欠です。
営業担当者は顧客に対して信頼できる情報源となり、マーケティングと連携してリードを効果的に育成することが求められます。
また、見込み客に対して最適な情報を提供することで購買意欲を喚起、あるいは満足度を高めエンゲージメントを強化することができます。

これらの戦略を実践することで、現代の顧客に対応し成功を収めることができるでしょう。